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腫瘍科

わかりやすい診療のために

こんにちは、獣医師の平林です。

暖かくなり、過ごしやすい季節になってきましたね。

外を歩くのがとても気持ちいいです。

 

今日は、診療の時にみなさんにお渡ししている病気の説明書についてお話しします。

当院では、病気についてご説明する時や治療方針をご相談する時に、このような説明書をお渡ししています。

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病気の特徴や、治療をするのに必要な検査内容、治療の選択肢などについて、絵や表を用いて記載しています。

もちろんこれらの内容は診察室でお話するのですが、ご自宅に戻られてからご家族の方と相談をしたり、後で振り返っていただく時に使っていただきたいと考えています。

 

これらの説明書は当院の獣医師が獣医学情報を集め、力を合わせて作成しています。説明書によって、かっこいい図や手書きのかわいい絵が入っている手作り作品です。

また、患者さんごとに異なる細かなことは、個別に説明書を作成してお渡ししています。

 

今はすべての病気の説明書があるわけではありませんが、少しずつ増やしていきます。

みなさんに、確かな情報をわかりやすくお伝えできるようにがんばります!

体調の変化に早く気が付くために

こんにちは。

獣医師の平林です。土曜日の腫瘍科で勤務をしています。

当院ではたくさんの患者さんの抗がん治療を行っています。

抗がん治療は、がんを抑える効果がある一方で、副作用への心配がつきものです。

副作用は、重く出てしまう子もいれば、ほとんどでない子もいて、程度は様々です。大切なことは、副作用がでてしまった時に、早く、適切な治療をしてあげることです。

今回は、体調の変化に早く気づくために、病院でとっている体制やご家族にご自宅で行っていただいていることについて、皆さんにご紹介をしたいと思います。

体調の変化は、元気、食欲、お水を飲む量、体温、心拍数、呼吸数、尿や便の状態でみていきます。

通院になる際には、ご家族にこのような紙をお渡しし、はかり方を一緒に練習します。

平林1

記録はこのような紙にしていただいています。

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食欲があり、元気なのにいつもの体温よりも高め、午後になって急に高くなった、などということがあった場合、重大な副作用が隠れていることがあります。

朝晩、記録することで、体の変化に早く気づくことができます。

記録をしていくうちに、このお薬の時には、治療をして何日後にお腹がゆるくなるなどと、お薬の種類によってでてくる変化も見えてきます。

そうすると、その子の体質や治療薬に応じたサポートができるようになります。

患者さんとご家族に安心して治療を受けて頂けるよう、当院は24時間、スタッフが病院に常在しています。副作用に対する様々なお薬を常備し、急な体調変化に対応が出来るようにしています。

治療中はご心配なことが多いと思います。どんなことでもご相談ください。

お年寄りのねこちゃんのトイレの工夫

こんにちは。

腫瘍科を担当しています院長の林宝です。

今日は腫瘍科の観点からねこのトイレについての事を書きたいと思います。

当施設の腫瘍科には、がんと闘うために抗がん治療を行っている動物が大勢います。

抗がん剤は、そのお薬の種類によって様々な副作用が問題となります。

その中でシクロフォスファミドという抗がん剤で一番注意しなければいけないのが出血性膀胱炎です。

この膀胱炎の予防で最も大切なのが抗がん剤投与後におしっこを我慢させないという事なのです。

ワンちゃんは、頻繁におトイレに連れて行ったり、お散歩に行ったりという事である程度予防が可能です。

しかし、猫ちゃんは結構難しい側面があります。

トイレが汚れていたり、トイレに入りにくかったりという事があると我慢してしまいます。

特にお年寄りの猫ちゃんは、ご家族が気づいていないレベルでも膝や股関節が痛い、あるいは足腰が弱っている事でトイレに行く事をついつい我慢してしまう事があるようです。

抗がん治療の有無にかかわらず排尿を我慢する事は動物にとっていい事はありません。

ご自宅でできる努力と工夫としてトイレをなるべく清潔に保ってあげる事とトイレの形や入りやすさを見直してあげる事をおすすめします。

市販されているトイレの入り口を比べてみると結構違う事がわかります。

院長トイレ

写真の一番左端のトイレは犬用ですが、砂が飛び散るのが大変ですが、高齢の猫ちゃんにとってはこの方が優しいかもしれません 。

りゅう君が、がんになりました。(犬のがん)

腫瘍科を担当しています林宝です。

私は、主にがんの動物の診療をさせていただいています。がん患者様の診療で特に気をつけている事は、

1.正確な診断、がんの進行度の判定

2.適切な治療方法の選択肢の提案

3.ご家族や動物の様々な状況に寄り添った治療の提案

4.各治療の利点、欠点、リスクをできるだけわかりやすくお伝えする

5.将来の予測をできるだけ正確にご家族にお伝えする

 

この5つを常に念頭におきながら動物とそのご家族に何がベストなのかを考えながら診療にあたっています。

そんな中、長い間献血で大活躍してくれた当施設の看板犬の1頭であるりゅう君の前肢に軟部組織肉腫というがんが見つかりました。

発生した部位が肘である事や、組織検査の結果で悪性度が高い可能性が予測された事などから治療の選択は非常に難しい判断となりました。

前述の5つのポイントを自分に問いかけながら手術、抗がん治療、放射線治療など様々な治療方法を担当スタッフと検討しました。

その結果、我々は、りゅう君の左前肢を断脚する事に決めました。

苦渋の決断でした。

がん治療において断脚を行う目的は大きく分けて2つ存在します。

1つは、完治や長期延命を目的としたもの、もう一つはがんの完治は期待できなくてもがんによる痛みを取り除く目的で行うケースです。

いずれのケースでも断脚の必要性を告知されたご家族のショックは多大なものだと思います。

私が、断脚を提示した際に、殆どのご家族は1回断脚を拒否します。

その理由は殆どの人が断脚手術後に動物が歩けなくなってしまうと思っているからです。

我々人間と違い、4本の足を持つ動物は3本足でも想像以上に上手に歩き、走ることができます。

また、外観上の変化を悲観してしまうこともありません。

既に痛みを伴っている動物では痛い足を引きずりながら生活するより生活の質もかえって向上します。

もちろん残った3本足に関節炎などの他の病気が存在する場合や極度の肥満動物に対しては断脚手術を慎重に検討する必要があります。

獣医師は術前に詳細に動物の評価を行い、動物の断脚後の生活をできるだけ正確に予測し、ご家族にそれを伝える事が重要だと思います。

また、断脚を回避できる他の治療方法についても詳細に検討する必要もあります。

手術の危険性についても誤解が多いように思います。

断脚手術は決して簡単な手術ではありません。

もちろん術前に動物の体力を詳細に把握しておく事は必須です。

しかし、十分なトレーニングと経験を積んだ獣医師が執刀すればハイリスクの手術では決してありません。

これらの誤解は、動物のご家族のみならず、我々獣医師や動物看護師にも存在しているように思います。

りゅう君のがんは、前肢を温存しての手術や術後の抗がん治療あるいは放射線治療を併用する方法も考えられました。

しかし、彼の年齢やシャイな性格も考慮して今回の治療法に決めました。

りゅう君は今回の手術で完治が十分に見込めます。

当施設には、幸いリハビリテーションの専門スタッフがおります。

人同様に動物でもリハビリテーションは、非常に重要です。

手術直後から徐々にリハビリテーションを開始しています。

手術直後は少し戸惑っていましたが、今は日々元気なりゅう君に戻ってきています。

りゅう君は、これまで献血で数え切れないほどの動物の命を救ってくれました。

私のかけがえのない相棒の一人です。

1日でも元気で長生きしてもらいたいと願っています。

皆さん応援よろしくお願いします!

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犬や猫のがんを早期発見するためには!

こんにちは、腫瘍科を担当しています院長の林宝です。

今回は、ご自宅でできるがんの早期発見方法について書きたいと思います。

皆さんご存知のようにがんは命を奪う恐ろしい病気です。

しかし、動物のがんの治療は年々進歩しており、完治できるがんも増えてきているのも事実です。

がんを治すには、なんといっても大切なのが早期発見です。

同じがんでも発見時期によって完治率が大きく変わってくるのです。

 

1.とにかく良く体中を触ってあげる事

病院で身体検査を受け頂く事でがんを発見できる事もありますが、実は身体検査はご自宅の方が詳しくできます。

どうしても動物は診察台の上では緊張や興奮をしてしまう事が多いですが、ご自宅でリラックスしている時はゆっくり、じっくり触る事が可能です。

専門知識がなくても皮膚や体の表面にできたできものは毎日触っていれば小さな物でも気づける事が多いと思います。

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<背中に発生した皮膚肥満細胞腫>

 

2.発見しにくい場所

がんがよくできるのに発見しにくい場所があります。

ひとつが口の中にできる口腔内腫瘍です。特に殆どのワンちゃんは、病院では口の中をじっくりは見せてくれません。

ご自宅でリラックして口を開けている時に覗き込むようにして下さい。2つ目が肛門周囲の腫瘍です。肛門の周りにも腫瘍は頻繁にできますし、肛門嚢(におい袋)にもがんができる事は珍しくありません。

お尻の穴なんて普段見ないところですが、注意して見て、触ってあげて下さい。

3つ目が耳の内側です。ここにも腫瘍ができますのでよく見てあげて下さい。

それから雄犬の精巣も高齢でがんになる事があります。精巣も触ってあげて下さい。

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<身体検査で発見された口腔内腫瘍>

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<肛門嚢アポクリン腺癌>

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<耳の内側に発生した肥満細胞腫>

 

3.リンパ節を触ってみましょう

体の表面にあるリンパ節の位置を覚えて頂き、触ってみて下さい。

犬と猫で最も多いがんであるリンパ腫を早期に発見できるかもしれません。

<体表リンパ節(犬も猫も基本的に同じです)>

 

4.鼻血が出たら直ぐに病院へ

動物は人と違って滅多な事では鼻血が出ません。

くしゃみが続いたり、1回でも鼻血が出たら鼻腔内腫瘍の可能性がありますので直ぐにご相談ください。