2015年7月
犬のリハビリテーション ~水中トレッドミルを使って~
こんにちは。
リハビリテーション科の藤澤です。
毎日暑いが続き、動物も人も大変ですね。
今日も雨が降った後に晴れてきて、とっても湿度が高くてムシムシでしたが、そんな中、お膝の手術をしたバーニーズマウンテンドッグちゃんがリハビリテーションを受けにやってきてくれました。
歩き方もしっかりしてきて、手術した肢に体重もかけることができるようになってきました。
これはご家族とわんちゃんの日々の頑張りの成果です。
とても暑かった今日は、初めてお水を使ったリハビリテーションに挑戦!
お水の浮力で免荷しながら、しっかり関節の運動を入れる目的でやってみました。
お父さんとお母さんにご協力頂きながら、オヤツパワーも追加して(笑)とっても上手に練習できました。
またがんばりましょう!
ご家族の許可を頂きましたので、笑顔をぱちり。かわいいですね。
椎間板ヘルニア ~犬と人の病態の違い~
こんにちは。獣医師の鵜飼です。
最近日差しの強い日が目立ち、夏の気配を感じますが、皆様は元気にお過ごしでしょうか。
私は先週から家のエアコンを始動しました。
さて、今日はよく知られている椎間板ヘルニアについて犬と人との違いを交えながらお話ししたいと思います。
まず、椎間板とは背骨と背骨の間にあり、運動時に背骨へ加わる衝撃を緩和・吸収する、いわば、クッション材の役割をしています。
この椎間板は、2層構造を形成しており、中心部にクッション材のゼリー状(ゼラチン様)物質、それを取り囲むように外側に線維層のカプセルを形成しています。これは犬も人も同じです。
人の場合、日々の生活で腰を曲げ伸ばしすることで生じる負荷に椎間板が耐えようとし、外側の線維層が分厚くなります。
これが脊髄を圧迫するため長い時間をかけて徐々に手足の痺れなどを起こすと言われています。
しかし、ミニチュアダックスフンド、トイプードル、フレンチブルドックなどの犬種(軟骨異栄養犬種)は2歳頃までに中心部のゼリー状物質が硬く変化してしまいます。
そのため,線維層に亀裂を加えていき、完全に裂けることで硬く変化したゼリーが脊髄へ衝突します。そのため、犬の椎間板ヘルニアの多くはいつも急激に前触れなく起きます。
これらの理由から、人のものと比較して犬の急性のヘルニアは脊髄への障害が重度なことがしばしばあります。
もちろん犬にも人の様な椎間板ヘルニアは認められ,特に大型犬でよく認められます。
以上が人と犬の大きな違いでした。また、珍しいですが猫にも椎間板ヘルニアは起きます。
椎間板ヘルニアはミニチュアダックスフンドで圧倒的に多い疾患です。
ある報告では、ミニチュアダックスフンドの4頭に1頭がこの病気になると考えられています。
これほど発生率の高い病気はないかもしれません。
ご家族の犬・猫の手足に不自由が認められたり、歩けなくなってしまった場合は早めに動物病院へ相談してくださいね。
引用:Canine and Feline Neurology
ワンちゃんの骨折治療
こんにちは。獣医師の庄山です。
最近梅雨に入り、ジメジメとした雨の日が続いています。
私は去年自転車から転倒して手を骨折しました。現在骨はくっついていますが、湿度の高い最近は骨折部が痛むことがあります。皆さんも季節や天候により関節や骨が痛むことを経験したことがあるのではないでしょうか。
ワンちゃんも何かのアクシデントで骨折することがあります。特にトイプードルやヨーキー、パピヨン、ポメラニアン、イタリアングレーハウンドなどの小型犬の前足の骨折が近年増えています。その理由としては
① 前足の骨が非常に細長い
② ぴょんぴょん飛び跳ねたりジャンプするのが大好き
③ 日本で暮らしている小型犬の頭数(約18万頭)が多い。
などです。
特に1歳未満の若いワンちゃんは骨が軟らかく、ソファーから飛び降りただけでも骨折してしまう子もいます。
今回は当院の中でも特に骨が細かったワンちゃんの骨折治療をご紹介したいと思います。
チワワさんが抱っこの状態から誤って落ちてしまい、前足を骨折しました。
下の写真はその時のレントゲンです。 前足の手首に近い部位で斜めに骨折しているのがわかります
骨折していない前足
骨折している前足
骨折の治療は大きく分けて2種類あります。手術かギプスなのですが、骨が細いワンちゃんの場合ギプスでの治療が難しいことが多いです。この子の場合、骨の太さは4.7mmと非常に細く、骨折部がたった1mmずれただけも20%以上ずれることになります。その場合骨がうまくつかないことがあります。
ご家族との相談の結果手術をすることになりました。
手術に使用したプレート(特殊な金属の板)は薄く、スクリュー(プレートと骨をくっつけるネジ)は直径1mmで長さは5mmしかありません。
手術方法は骨にネジ穴を開けて、スクリューでプレートを骨に固定します。口で言うのは簡単ですが、非常に繊細で難しい手術です。しかし、当院では経験豊富な整形外科専門医が実際に手術を実施しているのでご心配にはおよびません。
下の写真は手術後のレントゲンです。
手術直後
手術後2週間
手術後4週間
手術後8週間
手術後すぐに骨折した足が使えるようになりました。
手術から2ヵ月で通院は終了し、今現在元気に走り回っています。
骨折は予防が可能なアクシデントです。ご自宅で実施できる予防策はいくつかあります。
・家具の上からの飛び降りを制限する
ソファーに階段を付ける、ソファーやいすに一人で乗せないようなしつけ
・床が滑らないような工夫
じゅうたんやカーペット、クッション性の高い床材(コルク性など)
・お散歩
ストレス解消のためにも外で十分な運動量確保し、室内で過度に運動させない。
小型犬の骨折はたいてい室内で起こります。
自分で骨折を経験された方はわかると思いますが、骨折すると非常に痛いですし治療期間はつらいものです。
小型犬の骨折が少なくなるように、以上のような飼育環境の整備をぜひお願い致します。