2023年2月
全身麻酔について
こんにちは、獣医師の鈴木です。
心なしか夜が少し暖かくなったように感じますが気のせいでしょうか。
さて、今回は全身麻酔についてお話ししたいと思います。
患者の検査や治療の過程で、全身麻酔が必要になる機会は多くあります。
1番分かりやすいのは手術ですね。
全身麻酔をかける上で、必要となる条件があります。
1.意識の消失
2.筋肉の弛緩
3.鎮痛
4.有害反射の抑制
以上の条件が得られた時に全身麻酔と呼べる状態となります。
しかし、これらの作用は1つの薬剤のみではなし得ません。
厳密に言えば、1つの薬でも条件を満たすことが出来ますが、理想的な全身麻酔とは程遠く、寧ろ患者を危険な状態にさせます。
なぜなら、薬には必ず毒性量というものが存在するからです(ここでは分かりやすく毒性量=副作用といたします)。
では、普段どのように全身麻酔をかけているのか?
それは、それぞれの作用を持つ薬を併用することです。
つまり、吸入麻酔薬、筋弛緩薬、鎮痛薬と呼ばれるものです。
それぞれの薬の薬用量を調整し、併用することで、個々の薬に存在する副作用の発現を抑えながら全身麻酔と同じ状態をつくることが出来ます。これをバランス麻酔といいます。
全身麻酔が必要になる時は、このように薬を組み合わせてその患者に適した麻酔を施すように日々考えながら処置しています。
残念ながら、薬に対してよく反応してしまう子や、かなり状態が悪くなってしまっている子など、どうしても麻酔リスクがある状況はあります。
なので、当院ではしっかり麻酔前検査をして何か麻酔に対するリスク因子がないか、もしくは問診等でアレルギーなどがないかを確認しています。
当院には、麻酔を専門とする獣医師がいる為、麻酔前検査で異常がないかを担当医と麻酔科医で吟味し、麻酔科医が麻酔を見る体制が整っていますので、少しでも麻酔に不安がある方のお力になれるかと思います。
最後になりましたが、麻酔にはこうして工夫に工夫を重ねて実施されている背景があることを麻酔が不安なオーナー様方に知っていただければと思います。
実は、バランス麻酔と同様に鎮痛にも数種の薬を併用して工夫を……なんて話はまたの機会にさせていただきたいと思います。
犬や猫にチョコをあげてもいいの?
こんにちは。獣医師の盧です。
今年もそろそろバレンタインの季節になりました。バレンタインといえばチョコレートの出番ですね。日頃の感謝の気持ちを伝えるために、わんちゃんやねこちゃんにチョコレートをあげても大丈夫でしょうか。
・結論から言うと、犬や猫にチョコレートをあげてはいけません。
なぜかというと、チョコレートの中に含まれている「テオブロミン」と「カフェイン」が、犬猫に中毒症状を引き起こすからです。
「テオブロミン」と「カフェイン」はメチルキサンチン類と呼ばれ、これらの物質には細胞内伝達物質であるcAMPを不活化を阻害し、cAMPの効果を持続させる作用があります。
低用量であれば、気管支拡張作用、強心作用、利尿作用、血管拡張作用や中枢刺激作用など薬として利用された歴史もありますが、高用量になると発汗、震え、頭痛などの中毒症状も引き起こします。
人ではテオブロミンの代謝、尿への排泄が迅速に行われるため、体内に蓄積することはあまりありません。
その一方で、犬や猫ではテオブロミンを代謝する能力が非常に低いため、テオブロミンが体の許容量を超えて蓄積しやすく、中毒症状を引き起こしてしまいます。
具体的には下痢、嘔吐、発熱、興奮、頻脈、不整脈、多尿、ふらつき、痙攣など多岐にわたる症状を示します。
摂取量が多い場合にはさらに昏睡状態から死に至ることもあります。
体重1kgあたり20mg程度のテオブロミン摂取によって中毒症状が現れはじめ、100〜200mg(猫の場合は80〜150mg)の摂取で死に至ると言われています
・犬猫にチョコレートを与えてはいけないことは分かりましたが、目を離した際に食べてしまった場合にはどうしたらいいでしょう。
まずペットたちがどんなものを食べてしまったのかを見てみてください。
実はチョコレートの種類によって含まれているテオブロミンやカフェインの物質濃度が違います。
表1および表3は厚生労働省が実施した高カカオチョコレートに関する調査結果です(引用:高カカオをうたったチョコレート(結果報告)平成20年2月6日;厚生労働省)。
カカオ分が高いほどテオブロミンやカフェインの含有量が高くなっています。
万が一食べてしまったら、焦らずに動物病院に相談しましょう。その際はどんなチョコレートをどれぐらい食べたかをわかるように、実物を持っていくと分かりやすいでしょう。
チョコレート中毒について、特殊な治療はありませんが、食べてしまったものを催吐処置または胃洗浄によってこれ以上吸収させないようにして、体内に吸収してしまったものに関しては点滴と利尿剤で早く体内から排出されるようにします。
チョコレートはダメですが、お気に入りのおやつなどをあげて、日頃の感謝の気持ちを伝えてみてはいかがでしょうか。
ペットホテルについて
こんにちは、受付の神宮です。
今年に入り寒さが厳しくなってきました。皆様の可愛いご家族達はいかがお過ごしでしょうか?
我が家の猫達は毎日のんびりと暮らしています。
さて私事ですが、コロナ禍でなかなか行けなかったお墓参りに昨年香川県まで行ってきました。
瀬戸内海に浮かぶ島々がとても綺麗で見ているだけで癒されます。
皆様の中にもそろそろ旅行の予定をされる方も多いと思います。それに伴いワンちゃん猫ちゃんのペットホテルをお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
当院でも、当院でワクチンやノミダニ予防、フィラリア予防をされているワンちゃん猫ちゃんを対象にペットホテルのお預かりをしています。
初めてお泊まりされる場合は、ペットホテル同意書の他に、出来る範囲になりますが、ご自宅にいる時と同じようにさせていただく為、ご飯やお散歩、トイレ等について病院の用紙に記入をお願いしています。
また当日チェックイン時にも、ご飯、お散歩等のタイミングをお伺いしますので少しお時間に余裕をもってご来院されることをお勧めします。
詳しくはホームページでもご案内しておりますが、ご質問等ある場合は病院までお問い合わせください。
愛玩動物看護師の国家試験
こんにちは。動物ケアスタッフの粂川です。
強烈な寒波による厳しい寒さが続きますね。皆様はいかがお過ごしでしょうか。
私は普段早起きするのは得意ですが、最近は布団から出るのも億劫です。(笑)
さて、いよいよ愛玩動物看護師の国家試験日(2月19日)まで1か月を切り、国家試験の勉強もラストスパートに入りました。
大学で4年間学び、この病院で働き始めて約2年になりますが、知識として抜け落ちていることや至らない部分があることに気づき、今の自分を見つめ直す良い機会になっています。
仕事と勉強の両立は大変ではありますが、動物への理解を深めることができ、楽しくもあります。
国家資格を取得できれば、仕事の幅が広がることはもちろんですが、今まで以上に皆様から預かる信頼や背負う責任も大きくなります。
皆様のお役に立てますように残り1か月弱、合格に向けて頑張ります!