ホーム>飼主様向け情報>よくあるペットの病気>ホルモンの病気

ホルモンの病気

副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)

副腎皮質機能亢進症は副腎が腫れて過剰な副腎ホルモンが体の中に放出されるために様々な症状が起きる病気です。

主な症状

  • 多飲多尿(お水をたくさん飲んでたくさんのおしっこをする)
  • おなかが張ってきたり,たるんできたりする.
  • 毛が薄くなる
  • 異常な食欲
  • 足腰が弱くなる
  • 血栓(血のかたまり)が出来ることによる呼吸困難
  • 突然死

などがあげられます。

副腎皮質機能亢進症には大きく分けて下垂体性と副腎腫瘍性の2つのタイプがあります。

下垂体性
( 80 ~ 90 %)

脳の下垂体が腫瘍化(多くは良性)して副腎へ過剰な指令を送ってしまいます。
その過剰な指令を副腎が受け取ることで異常な副腎ホルモンが体内に放出されます。
また、このタイプは更に下垂体小型腺腫(約 82 %)と下垂体巨大腺腫( 15 %),癌(約 3 %)の 3 つのタイプがあり、通常、小型腺腫は内科療法に対する反応が良好ですが巨大腺腫は副作用(神経症状)が強く発現し治療に危険性が高くなります。
癌について は非常に少ないため、治療効果などもよくわかっていません。
これらの鑑別は CT スキャン検査が必要です。
副腎腫瘍性
( 10 ~ 20 %)
副腎自体が腫瘍化して異常なホルモンを放出します。
副腎の評価はエコー検査と CT スキャン検査が有効です。

治療 下垂体性クッシング症候群

1.内科療法

飲み薬で 副腎から出されるホルモン(コルチゾール)ホルモンの機能を抑制します。

ミトタン このお薬は副腎を直接破壊することで副腎からのホルモン放出を少なくします。効果は比較的高く、
ここ数年前まではこのお薬が第一選択で使用されています。しかし、欠点として副作用が比較的多く、
副腎を壊しすぎてしまうと下痢、嘔吐、食欲不振などの症状が見られ、重症例では副腎皮質機能低下症に
陥り逆にホルモンを補充する必要が出てきます。
トリロスタン 副腎から出てくるホルモンの機能をブロックするお薬です。
比較的新しいお薬で、副腎を破壊しないために、従来のお薬(ミトタンなど)と比べ副作用が
少ないのが特徴です。治療効果はミトタンと同等かそれ以上と考えられています。
近年はミトタンに変わり、トリロスタンが主流になってきています。お薬がかなり高価なのが難点です。

2.外科療法

腫瘍化した下垂体を手術で摘出します。理想的な治療法ですが、まだ世界的にも実績が少なく、確立された治療ではありません。
術後には副腎ホルモンも甲状腺ホルモンも全くでなくなるためホルモン補充療法が一生必要になります。

3. 放射線治療

下垂体腫瘍の中で巨大腺腫と呼ばれる大きな腫瘍の場合に適用になります。
放射線で腫瘍化した下垂体を破壊してしまう方法です。
特殊な施設が必要で,残念ながら現在日本で下垂体に対する放射線治療が行える施設は一箇所しかありません。

治療 副腎腫瘍性クッシング症候群

1.外科療法

副腎腫瘍の治療の第一選択は外科手術による腫瘍化した副腎の摘出になります。

2.内科療法

お薬(内服薬)で副腎を破壊する治療となりますが下垂体性に比べ効果が少なく、様々な理由で手術が不可能な場合に選択される治療法です。

※進行するとあえぎ呼吸、腹囲膨大・下垂、元気の低下、筋力の低下、神経症状、肺血栓塞栓症などで命にかかわります。