生殖器の病気
犬と猫の潜在精巣(陰睾)
潜在精巣とは?
犬や猫の精巣(睾丸)は、胎生期に腹腔内で形成され、出生前後に「鼠径管(そけいかん)」を通って、「陰嚢(いんのう)」という袋の中に下降していきます。
通常、犬では生後30日以内に陰嚢に精巣が確認できることが多く、大型犬では3〜4ヶ月かかることもあります。
生後6ヶ月を過ぎても片側または両側の精巣が陰嚢内に認められない場合、「潜在精巣(せんざいせいそう)」あるいは「陰睾(いんこう)」と診断されます。
潜在精巣の場所
- 腹腔内
- 鼠径管内
- 皮下(陰嚢の近く)
などが挙げられます。
原因について
潜在精巣の主な原因は遺伝性であると考えられています。
そのため、繁殖に用いることは推奨されません。
潜在精巣によるリスク
潜在精巣は、高温環境にあることで細胞に異常が生じやすく、精巣腫瘍の発生率が高まることが知られています。
犬においては、腫瘍化のリスクが正常精巣と比較して9.2〜13.6倍高いという報告があります。
腫瘍化した場合、女性ホルモン(エストロゲン)が過剰に分泌されることで以下のような症状が見られます
- 雄なのに乳腺の発達や乳汁分泌
- 脱毛
- 無気力、貧血、骨髄抑制 など
治療について
潜在精巣の治療は外科的摘出(去勢手術)が行われます。腫瘍化のリスクを下げるためにも、早期(若齢期)の摘出が推奨されます。
潜在精巣の位置により、通常の去勢手術と異なり、開腹手術や鼠径部切開が必要になることがあります。
子宮蓄膿症
子宮蓄膿症とは

子宮蓄膿症とは、子宮の中に細菌感染が起きて膿がたまってしまう病気です。
卵巣から放出される黄体ホルモンが関係しているといわれています。
多くは高齢犬でみられ、生理の後1~2か月経過してから発症がみられることが多いです。
ただし若齢犬でも発症することがあるので注意が必要です。
症状
多くは膣から膿が排出されますが、一部では膿の排出がみられない事もあります。
その他ご家族が気づく症状としては、発熱、食欲不振、元気消失、飲水量と尿量の増加、嘔吐、お腹が張っているなどです。
腎不全や敗血症を起こしたり、お腹の中で子宮に穴があいて腹膜炎を起こしたりと、重篤な病状に進行すると命に係わる病気です。
診断・治療
血液検査、レントゲン検査、超音波検査などの検査で診断します。
治療は子宮と卵巣を摘出する手術が必要です。
子宮蓄膿症にならないためには
避妊手術をしたこは子宮蓄膿症にはなりません。
高齢で病気になってから手術をするよりも、若くて元気なうちに手術を行ったほうが体への負担や危険性は少なくてすみます。
避妊手術のご案内については避妊去勢手術の項をご覧ください。