ホーム>スタッフブログ>神経内科・神経外科>けいれん発作が起きたときの対処法
神経内科・神経外科

けいれん発作が起きたときの対処法

こんにちは、獣医師の鵜飼です。

年の瀬ですね、2014年も残り1週間となりましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。

今回は、けいれん発作が起きたときの対処法をお話したいと思います。

けいれん発作は緊急として昼夜問わず病院へ運ばれてくることが多いものの一つであり、この年末年始にもご経験される方もいらっしゃると思います。

まず、人と同じように犬でも猫でも起きます。

見慣れていない方が全身性のけいれん発作を見るとパニックになってしまうこともしばしばあるかと思います。

原因として、大脳皮質と言われる大脳表面の皺の部分に障害が生じると発生すると考えられています。つまり、根本的な原因が何にせよ、大脳皮質が障害を受けると生じます

*脳自体の障害:特発性てんかん(一般的に”てんかん”と言われているもの)、 脳炎、脳腫瘍、脳梗塞など

*脳以外の障害:血液成分の異常、肝臓疾患など

これらの疾患はどれであっても同じようなけいれん発作を起こすので、原因の病気を診断して治療していく必要があります。

では、本題のご自宅・外出先でけいれん発作が起こったらどうするか。

 

・顔の周りは絶対に触らない

・周囲にある、ぶつかると危ないものをどける

・けいれん発作の時間を測る、動画に撮る

・止まった後、犬・猫の状態をしっかり見る

・群発発作、重責発作(下記に説明)になれば、昼夜問わず病院へ

 

一般に、けいれん発作は脳が過剰な興奮状態にあります。そのため、止めようとして抱っこしたり、必死に呼びかけたりしても、残念ながら止まりません。

けいれん発作中は意識が消失していることがほとんどなため、抱っこする際に手を噛まれたりするケースが多いです。噛む力も無意識であるため非常に強く危険です。

また、抱っこした腕から落ちてしまう危険もあります。

では、そのままにしておくのか?

多くの場合けいれん発作自体は2-3分、長くても5分以内に自然に止まります。

そのため、止めようと抱っこするのではなく、周囲のぶつかると危険なものをどけることが大事です。

また、けいれん発作の時間を測り、携帯などで動画を撮ることが今後病院へ来院したときの診断・治療の一助となります。

けいれんには様々なタイプがあり、口頭での説明では獣医師にうまく伝わらないことが度々あります。

動画があれば、一見ですべて伝わりますので、ぜひ活用してください。

そしてけいれん発作が終わった後も犬・猫の様子をしっかり見てあげてください。

いつもと同じように戻っているのであれば、焦って病院へ連れて行く必要はありません。

夜間であれば、翌日以降の診察に行かれることをお勧めします。しかし、ぐったりしていたり、呼びかけにも反応しない、以下のような状態であれば、すぐに病院へ連絡してください。

・群発発作:1日に発作が2回以上、何度も起こす場

・重責発作:発作の時間が5分以上続く、または1回目の発作が終わった後、意識が戻らない(呼びかけに反応しない)まま、2回目の発作が起きる

上記の場合は、けいれん発作の緊急事態ですので、早めに病院へご連絡ください。

年末年始にご家族の犬ちゃん・猫ちゃんにけいれん発作が起きないことを祈っています。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.samec.jp/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/48