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神経内科・神経外科

平衡感覚について

こんにちは.獣医師の鵜飼です.

2016年になり,早くも2ヶ月が経ちましたね.

みなさんは今年の抱負は立てていますか.

私はいろいろと考えましたが,今年の抱負は,『英語力を上げて字幕無しで洋画を見れるようにする!』にしました.

なかば願望ですが…

 

さて,本日は神経症状の一つである,「平衡(へいこう)感覚」についてお話したいと思います.

そもそも平衡感覚とは何でしょう?

 

答えは,日常生活で身体のバランスや姿勢を調整する働きのことです.

この感覚が障害を受けると,まっすぐ歩けなかったり,眼が回ったりします.

 平衡感覚は以下の3つの感覚が協力して働いています.

  • 皮膚感覚
  • 視覚
  • 前庭系

上記の3つのうち,どれか1つが欠けるだけで,平衡感覚障害,つまりからだのバランスがうまくとれないといった症状が認められます.

皮膚感覚:私たち人も犬・猫も通常は触覚から,空間を認知しています.つまり,空間の中で自分の手足・身体がどこにあるのかを無意識に把握します.

視覚:眼で見ることで,空間の上下左右前後などを理解しています.視覚の低下によって,ふらつきやからだのバランスが取れなくなります.例えば,目隠しして歩いた時など.

前庭系:名前が専門的で難しいので,聞き慣れない人も多いと思いますが,耳の中にある三半規管の機能です.同様に身体のバランスや動きの変化を脳に伝えます.

 

 では,よく遭遇するもので,例をあげてみます.

 まずは人で・・・船酔いの状態

・船上での慣れない環境(連続的な揺れや振動など)で,③三半規管がうまく働かなくなっています.

この時多くの人が,横になり船と体を密着させて,①皮膚からの平衡感覚を増やします.つまり①と②で③の分を補おうとしてます.

 

次はワンちゃんで・・・老齢犬に起こる,特発性前庭障害と言われる病気

・急に三半規管の機能が低下する病気です.船酔いの時と同じで,身体を出来るだけ床に付けて,じっと動かないことが多いですね.これも③前庭系機能を補っています.

**こんな時に注意して欲しいこと**

 急にワンちゃんを抱っこして持ち上げると,①皮膚感覚の補助が取り除かれてしまい,平衡感覚が低下して,大パニックになってしまいます.

→対処法:からだを出来るだけワンちゃんに接して抱っこしてみてください.

 

 少し専門的で難しい話でしたね.この感覚は私達も持ち合わせており,大事な機能ですので,頭のどこかに入れておいてもいいかもしれません.

 

 何か気になることがあれば,何でも構いませんので,いつでも相談してくださいね.

 

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