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総合診療科

下痢・嘔吐について

初めまして。

今年の1月から総合診療科で勤務しております、獣医師の橋本龍之介です。

わんちゃんを飼っていると比較的よく見られる症状と言えば下痢・嘔吐ではないでしょうか?

若い子から、高齢な子まで、幅広い子が下痢・嘔吐に悩まされることがあると思います。

当院においても、来院される症例の中で1~2を争うほどの件数が下痢・嘔吐を主訴として来院されます。

そこで今回は、一般的な治療を行っても改善が認められず、長期的に下痢・嘔吐に悩まされている子たちについて、どのように考え、どのような検査をし、どのような治療が必要になってくるかを簡単ではありますが、説明させていただければと思います。

 

わんちゃんに慢性的に消化器症状を引き起こす原因不明の慢性胃腸炎は、慢性腸症と呼ばれます。

慢性腸症は

食事を変えることによって症状がよくなる場合。

抗生剤を飲むことで、症状が良くなる場合。

ステロイドなどの免疫抑制剤を飲むことで症状が良くなる場合。

残念ながら治療に反応しない場合。

の4つに分けることができます。上から順に当てはまる可能性が高く、一般的な治療に反応しないような子はわずかしかいないと言われています。

 

そこで、まず一般的な下痢止めや吐き気止めで症状が良くならず、便検査や超音波検査などで異常が見られない場合は、食事を消化器用の療法食に変えてみることをお勧めしています。

療法食に変更し、2週間程度経過しても改善しない場合は、抗生剤の内服を開始します。

それでも改善しない場合は、内視鏡検査をお勧めしています。

内視鏡検査では、胃腸の粘膜の観察と同時に、組織を一部取って病理検査を実施することで、がんが隠れていないかどうかなどを調べることが出来ます。

麻酔をかける必要がある検査ですが、免疫抑制剤が必要なタイプの腸炎は、ステロイドや免疫抑制剤を長期的に内服する必要がありますので、本当にステロイドが必要なのか、そのほか一般的な検査ではわからないような疾患が隠されていないかどうかをチェックすることは重要だと思われます。

そのため内視鏡検査を行い、その結果を元に治療を開始していく形となります。

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この写真は慢性腸炎と診断された子の内視鏡画像です。

腸の壁がボコボコとしており、所々出血しているのが分かります。

よく見られる下痢・嘔吐ですが、いつもの治療で良くならない。

なぜか下痢や嘔吐が続くようなことがあれば診察にいらしていただければと思います。

症状が長引く場合は不安が募るばかりだと思います。

そのような飼い主様に寄り添い誠心誠意、診察・治療していきたいと思っています。

 

 

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