ホーム>スタッフブログ>総合診療科

総合診療科

ノルウェージャン•フォレストキャットのめんまについて

獣医師の安藤です。

お正月を迎え、もうすぐ2月という時の流れの早さに驚いています。

 

今日は私の飼い猫、ノルウェージャンフォレストキャットのめんまについてお話しようと思います。

家に迎えてから早7年。初対面にも関わらず、私の膝の上で熟睡していた子猫時代。

成長した今でも相変わらずマイペースで、たまにかまってくれる家族の癒しの存在です。

 

現在は離れて暮らしているのですが、時々帰って全身を触るようにしています。

去年の11月、いつも通り撫でまわしていたところ、右側の第二乳腺付近に7mmほどの硬いしこりを発見しました。

猫の乳腺腫瘍は悪性腫瘍(乳腺癌)である確率が89割、発見した段階で転移していることも多い疾患です。

全身検査を行ったところ、幸いにも明らかな転移所見はなく、後日右側乳腺全摘出手術を実施しました。

 

猫の乳腺腫瘍の積極的な手術方法は、犬の場合と少し違います。

しこりだけをとるのではなく、腕の付け根のリンパ節から、後肢の方のリンパ節まで入るように乳腺を全て摘出する術式が基本となります。悪性度が高く、しこり自体が小さくてもリンパ節へ転移する可能性があるためです。

傷もその分広範囲になるため、飼い主としては抵抗感がありますが、今できる限りの治療をと、私はこの手術方法を選択しました。

抜糸まで無事に終了し、現在は以前と変わらない生活を送ってくれています。

 

 

性格にも依存しますが、猫さんはしっかり触られるのを嫌がったり、長毛種では特に被毛によってできものの発見が遅れてしまうことが多々あります。

乳腺腫瘍の場合は、発見したときの腫瘍の大きさや転移の有無が余命に深く関与しますので、日々のスキンシップを大切にしていただければと思います。

また、早期の避妊手術も予防には効果的です。

 

20241279546.jpg

(写真1:猫の乳腺腫瘍の大きさと生存中央値について)

 

ご家族のわんちゃん、ねこちゃんに病気の診断がなされた時、今後の治療方針などについて悩んでしまうことがあると思います。その際に前へ進めるようお手伝いできればと思いますので、ご相談ください。

 

20241279639.jpg

(写真2:術後、階段を登れるまで回復し嬉しそうなめんま)

 

クッシング症候群について

こんにちは、獣医師の盧です。

今回はクッシング症候群についてお話ししたいと思います。

クッシング症候群はまた副腎皮質機能亢進症ともいいます。

副腎は腎臓の上にある一対の臓器で、生命を維持するのに不可欠なホルモンを分泌しています。

ホルモンの分泌をうまく制御できなくなることによって、さまざまな症状が現れます。

主に見られる症状には、多飲多尿や多食、腹囲膨満(お腹が張ってきて太鼓腹のような外貌になること)、皮膚のトラブルが挙げられます。

診断に必要な検査は血液検査、超音波検査、尿検査などがありますが、これらは副腎皮質機能亢進症と類似の疾患とを鑑別するために必要です。

最終的に副腎の機能が亢進しているぞーということを証明するためにはACTH刺激試験や低濃度デキサメタゾン抑制試験といったホルモンの検査が必要です。

ホルモンの検査で明らかに値が高い場合は副腎皮質機能亢進症と診断できます。

もちろん、中にはホルモン検査の値が微妙に高いけど診断基準には至っていない子たちもいます。

その場合は症状、血液検査や超音波検査、尿検査などの検査結果を併せて副腎皮質機能亢進症と診断する場合もあります。

治療は副腎ホルモンの分泌を抑える薬の投与になりますが、冒頭でも言ったように副腎が出しているホルモンは生命維持に極めて大事なものです。したがって、分泌を抑えすぎるのも良くなく、適正な用量に調整することが重要です。

うまく治療していくためには、ご家族様にご協力していただくことが必要不可欠です。

愛犬や愛猫のことで少しでも気になるところがあれば、いつでもご相談ください。

 

犬の膿皮症について

こんにちは。獣医師の藤森です。

今回は犬の膿皮症についてお話しします。

「膿皮症」みなさんは聞いたことがあるでしょうか?

膿皮症は皮膚の感染症です。

症状として皮膚炎、痒みなどが見られます。

検査は症状のある部分にテープやスライドガラスを貼り付けて顕微鏡で見ます。

膿皮症になると、皮膚にこのような赤いブツブツができたり

毛がボソボソとカサブタと共に抜けることがあります。

2024119133445.jpg

2024119133529.jpg

このように炎症細胞とその中に細かい粒々が見えます。

この粒々が膿皮症の原因となる細菌たちです。

膿皮症は痒みの原因となり放っておくと皮膚が真っ赤になったりゴワゴワになってしまいます

膿皮症の治療はシャンプーなどの外用剤や抗生剤で行われます。

しかし、アレルギー性皮膚炎やホルモン疾患などの基礎疾患がある子では再発を繰り返すことが多いです。

皮膚にブツブツができていたり痒そうにしている場合は相談してみましょう。

 

ダニについてのお話です

近郊の山でも紅葉が進み、渋みのある山肌になってまいりました。

いよいよ晩秋〜初冬といったところでしょうか。寒暖差の激しい日々が続いていますが、皆様いかがお過ごしでしょう。

暖かい日中には、お散歩しているワンちゃんや、ひなたぼっこしているネコちゃんを見かけることもしばしば。

ハエやカなどの昆虫も減ってきましたね。

しかし、屋外にはまだまだ危険が潜んでいるかもしれません。

皆さんご存知の“ダニ”は、秋でも油断できない虫の一つです。

ダニの活動期としては、12月は少々遅めかも知れませんが… 今回はダニについてのお話です。

 

そもそもダニとはどんな生き物でしょう。

ダニは節足動物門-クモ綱-ダニ目に分類される虫で、“昆虫”ではありません。

吸血するものから、血を吸わずに他の虫、植物、動物の皮脂を食べたり、衣類についたり、動物の皮膚にトンネルを掘ったり、蜂の気管に寄生するものまで多種多様です。

中でも、ワンちゃんやネコちゃんにくっついて吸血するものは後気門目と呼ばれ、マダニの仲間が該当します。

2023128152448.jpg

2023128152658.jpg

2023128152733.jpg

 

マダニは、卵→幼ダニ→若ダニ→成ダニの順に成長し、各段階で十分に血を吸うと、脱皮して次の発育段階に進みます。

日本で見られる多くの種は、宿主の体から一旦落下して地面で脱皮します。

脱皮が終わると、二酸化炭素や赤外線を検知し、動物にくっついて吸血するのです。

成ダニは吸血を終えると再び地面に落下し、落ち葉や草の陰に数千個の卵を産みます。

孵化した幼ダニは動物の体毛にトラップされると瞬く間に散らばってしがみつくのです。

これが厄介で、ちょっとやそっとでは振り払えず、吸血すると口器はしっかり皮膚に食い込みます。

私自身山が好きで、時々運悪く幼ダニの群れに突撃することがありますが、数十匹程が一斉に衣服に広がる光景は恐ろしいです。

マダニの怖さは、咬傷による皮膚炎のみならず、体内に様々な病原体が潜んでいるかも知れない点、それらが傷口から侵入し病気を引き起こすかも知れない点、さらにそれらが別の動物や飼い主に伝播するかも知れない点にあります。

特に動物とヒトの間で伝播する感染症は人獣共通感染症と呼ばれ、マダニはこれらの代表的な媒介者や感染源の一部となり得ます。ワンちゃんやネコちゃんでは、原虫によるバベシア症、ウイルスによる重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、細菌によるヘモプラズマ症、日本紅斑熱、ライム病などの感染症が挙げられます。

2023128152353.jpg

 

マダニの病原体保有率は、流行地域、ダニや病原体の種類、季節によって異なりますが、全てのマダニが病原体を保有しているわけではありません。

ただし、マダニに咬まれて感染症に罹患し、重症化や死亡するワンちゃんやネコちゃんがいるのも事実です。

事前の対策がいかに重要かご理解いただけると思います。

当院HPでも紹介していますように、スポット製剤、スプレー、内服、環境整備などによる予防が効果的です。

また、寄生時には適切な対処が必要になります。お困りの際にはぜひ当院にご相談ください。

大切なワンちゃんやネコちゃんの体を普段からよく観て触ったり、様子を観察してあげることも大切です。

アウトドア好きのワンちゃんやネコちゃんでは、特に気にかけていただけると良いかも知れませんね。

 

貧血もいろいろ

こんにちは、獣医師の遠藤です。

献血についてのお話があったので、今回は貧血についてお話ししていきます。

貧血と聞くと、どこかから出血してしまっていることを想像される方が多いかと思います。

しかし、出血による貧血はほんの一部であり、その他にもいろいろな機序で貧血が起こることが知られています。

例えば赤血球を作る工場(骨髄)に問題がある時、体に必要十分な赤血球が産生できずに貧血となります。

また工場には問題なくとも、備蓄されている材料(栄養)が不足していたり、工場までうまく運搬できなくても、十分な赤血球が産生できなくなってしまいます。

中には不思議なことに、折角自分で作った赤血球を自分自身で破壊してしまう病気も存在します。

その他にも、寄生虫が感染してしまったり、欠陥のある赤血球が作られることで赤血球の寿命が短くなったりするなど、意外と原因は多岐にわたります。

これらは、その他の血液検査や画像検査、骨髄検査などを組み合わせて鑑別していきます。

貧血はさまざまな病気の結果でありサインの1つでもあります。

中には命に関わる場合もあります。

大事なご家族で貧血を認めた場合には、一度ご相談ください。

 

災害に備えましょう!

獣医師の福島です。

最近、地震が頻繁におきたり、ゲリラ豪雨や台風などの水害も多くなっています。

皆さんは災害への対策はされていますか?この辺りは幸い大きな災害はありませんが、避難が必要な災害が起こったとき、飼い主さんの安全を確保して原則的にはペットと同行避難(ペットと一緒に避難すること)をします。

日頃から災害に備えたペット用の備蓄や避難ルートの確認、必要なしつけや健康管理をしておくと安心です。

いつ起こるかわからない災害に対する備えを一緒に考えていきましょう。

●災害への備えは基本的なしつけ、健康管理、必要な備蓄

①基本的なしつけをしたり、キャリーなどに慣らせておきましょう。

ワンちゃんは『まて』・『おいで』が特に重要です。また、無駄吠えの傾向がある場合は落ち着けるよう練習しておくといいでしょう。クレートトレーニングやキャリーに慣らしておきましょう。

猫ちゃんもクレートやキャリーに慣らしておきましょう。

*うちの猫ちゃんたちはキャリーが好きです。

最初は警戒していましたが、食事やおやつを食べたり触り心地の良いタオルを入れたりしていたら自然に入るようになって、今ではくつろいでいます。

常にリビングに置いておくのもコツです。

 

202381883354.jpg

おひるね♪

202381883427.jpg

写真これでO K?

20238188352.jpg

ちょっとおじゃまします!

 

②ワクチンやその他の予防をしておきましょう。

日頃の様子をよく観察して、時々動物病院でも診察してもらいましょう。健康手帳などで診察記録を残しておくと良いでしょう。

 

③ライフライン(電気・ガス・水道など)が元に戻るまで時間がかかることもあります。避難セットの準備や必要な備蓄をしておきましょう。

食事:療法食を食べているのなら多めに用意しておく

水:ミネラルウォータで大丈夫(日本の水は水道水とほぼ同じ硬度)

お薬:いつも飲んでいる薬、特に飲まないと命に関わる薬は2週間くらい余分に持っておくほうが良い。(かかりつけの動物病院も被災している可能性がある)何の薬を飲んでいるか、お薬手帳をつけておくと良い。(他の病院で同じ処方をしてもらえる)

排泄用グッズ(簡易トイレ・うんち袋・猫砂など)

お手入れグッズ(ブラシ・コームなど)

キャリーバック・クレート・ケージ

写真:携帯の写真でも良いのでわかるもの

首輪・食器・ペットシーツ・バスタオル・ビニール袋・ガムテープ・おもちゃ・おやつ

その他必要なもの

 

●住まいの防災対策

家具やケージに転倒防止グッズを設置したり、ガラスに飛散防止フィルムを貼ることでケガをしないよう対策しておきましょう。また、地震などで窓ガラスが開いて脱走しないように工夫しておくといいでしょう。

●避難所やルートを確認

前もって確認しておくと、いざという時にあわてずに行動できます。

●ペットとはぐれても見つかり易い工夫

マイクロチップ、迷子札・鑑札・狂犬病予防注射済票をつけておきましょう。

飼い主さんの名前・連絡先がわかるようになっています。

 

いろいろな対策を見てきましたがいかがでしたか?私もまだ十分対策できていないので改めてやっておくことを確認できました。できれば、災害に遭わないほうが良いですが、もしもの時の備えをやっておけばあわてないですみますので、できることから始めていただけたらと思います。

これからまだまだ暑くなりますのでいろいろな対策をして元気に乗り切りましょう。

 

ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎)について

こんにちは、獣医師の石川恭平です。

桜も開花して春らしくなってきましたね。春になって仔犬を迎えるご家庭も多いかと思います。

今回はケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎)についてお話ししたいと思います。

ケンネルコフは急に起こり、短時間でおさまる咳が特徴です。他にも鼻汁や食欲・元気の低下が認められることもあります。

原因は感染力の強いウイルスや細菌です。ケンネルコフを発症している犬の咳やくしゃみを吸入してしまったり、ウイルスや細菌で汚染された物を舐めてしまったりすることで感染してしまいます。

どの犬種・年齢の犬でも感染する可能性があります。ほとんどは軽い症状で1週間から10日で自然に治りますが、仔犬や体調の悪い高齢犬では咳やくしゃみが続いたり、少しずつ悪化したりすることがあります。悪化してしまうと肺炎を引き起こしてしまい、命に関わる場合があるので注意が必要です。

また、多様な病原体が関与しているため、ワクチンを接種しているにも関わらず呼吸器症状を起こすことがあります(ワクチンにはケンネルコフの主な原因となるウイルスが含まれているので重症になることを防ぐためにも接種は大切です)。

このような病気の特徴があるため、ケンネルコフを患ってしまった、食欲も元気もある軽い症状の犬から病気を診断することは診察室だけでは難しいこともあります。

例えば、興奮した時にだけ軽い咳をしてしまう、吐くようなしぐさをする(呼吸器の症状のこともあります)などの症状を教えていただいたことが診断や治療につながることもありました。

ですので、ワクチンの摂取にいらした元気な仔犬でも気になることがあったら獣医師にぜひ伝えてください。

動画も撮影していただけますと非常に助かります。

 

 

アニマルパープルデー

こんにちは。獣医師の安藤です。

3月になり、だいぶ温かくなってきましたね。

みなさまはどうお過ごしでしょうか?

わたしは寒いのが苦手で、普段は車通勤、休日は近い場所でも車で行ってしまおう...が続いていて、最近歩いたのいつだっけ?とふと思いました笑。

寒さや花粉が落ち着いたら、さすがに運動しようと計画を立てているところです!

ところで、3月26日はアニマルパープルデーです!

「アニマルパープルデー」ご存知でしょうか?

今日はそのお話をしようと思います。

パープルデー=てんかん啓発の日。

世界中でてんかんに関するイベントが開催され、賛同する人々は紫色のものを身につけます。

てんかんとは脳の疾患であり、人では100人に1人がもつといわれています。

アニマルパープルデーはその動物バージョン。

つまり、アニマルパープルデー=動物のてんかん啓発の日です!

動物の場合の発症率も人と同様であり、決して珍しくない病気です。

当院にも多くのてんかん患者さんが通院しています。そして、基本的には生涯つきあっていくものになります。

発作のコントロールをすることで、良い人生(犬生•猫生)を送ってもらう。そのためには、てんかんに対する正しい知識を持つことが大事なのです。

てんかんのわんちゃん、ねこちゃんと暮らすご家族様だけでなく、そのご家族様に寄り添えるよう、多くの方々に知ってもらいたいと思い、今回紹介させていただきました。

今年もオンラインにて、てんかんのミニレクチャーや講座があります。ぜひチェックしてみてください。わたしもします!

http://animal-purpleday.org/

 

また、初めて発作をみたご家族様へ。

発作といっても、脳ではなく、他の疾患が原因で起きる場合もあります。この子が発作を起こして...と来院されて、獣医師が実際に発作を確認できない場合が多々あります。

可能であれば、発作時の動画をとっていただきたいです。確かに様々な検査は必要なのですが、動画から多くのヒントを得ることができるので、とても助かっています。

そして、発作が1日に2回以上もしくは5分以上続いている場合はお早めの動物病院への受診をおすすめいたします。

202331394247.jpg

紫色のリボンをしためんま

2023313123441.jpg

リボンがよく見えないころも

 

犬や猫にチョコをあげてもいいの?

こんにちは。獣医師の盧です。

今年もそろそろバレンタインの季節になりました。バレンタインといえばチョコレートの出番ですね。日頃の感謝の気持ちを伝えるために、わんちゃんやねこちゃんにチョコレートをあげても大丈夫でしょうか。

・結論から言うと、犬や猫にチョコレートをあげてはいけません

なぜかというと、チョコレートの中に含まれている「テオブロミン」と「カフェイン」が、犬猫に中毒症状を引き起こすからです。

「テオブロミン」と「カフェイン」はメチルキサンチン類と呼ばれ、これらの物質には細胞内伝達物質であるcAMPを不活化を阻害し、cAMPの効果を持続させる作用があります。

低用量であれば、気管支拡張作用、強心作用、利尿作用、血管拡張作用や中枢刺激作用など薬として利用された歴史もありますが、高用量になると発汗、震え、頭痛などの中毒症状も引き起こします。

人ではテオブロミンの代謝、尿への排泄が迅速に行われるため、体内に蓄積することはあまりありません。

その一方で、犬や猫ではテオブロミンを代謝する能力が非常に低いため、テオブロミンが体の許容量を超えて蓄積しやすく、中毒症状を引き起こしてしまいます。

具体的には下痢、嘔吐、発熱、興奮、頻脈、不整脈、多尿、ふらつき、痙攣など多岐にわたる症状を示します。

摂取量が多い場合にはさらに昏睡状態から死に至ることもあります。

体重1kgあたり20mg程度のテオブロミン摂取によって中毒症状が現れはじめ、100〜200mg(猫の場合は80〜150mg)の摂取で死に至ると言われています

・犬猫にチョコレートを与えてはいけないことは分かりましたが、目を離した際に食べてしまった場合にはどうしたらいいでしょう。

まずペットたちがどんなものを食べてしまったのかを見てみてください。

実はチョコレートの種類によって含まれているテオブロミンやカフェインの物質濃度が違います。

表1および表3は厚生労働省が実施した高カカオチョコレートに関する調査結果です(引用:高カカオをうたったチョコレート(結果報告)平成20年2月6日;厚生労働省)。

202321713168.jpg

 

2023217131636.jpg

カカオ分が高いほどテオブロミンやカフェインの含有量が高くなっています。

万が一食べてしまったら、焦らずに動物病院に相談しましょう。その際はどんなチョコレートどれぐらい食べたかをわかるように、実物を持っていくと分かりやすいでしょう。

チョコレート中毒について、特殊な治療はありませんが、食べてしまったものを催吐処置または胃洗浄によってこれ以上吸収させないようにして、体内に吸収してしまったものに関しては点滴と利尿剤で早く体内から排出されるようにします。

チョコレートはダメですが、お気に入りのおやつなどをあげて、日頃の感謝の気持ちを伝えてみてはいかがでしょうか。

 

犬のマラセチア

こんにちは。獣医師の藤森です。

今回は犬のマラセチアについてお話しします。

「マラセチア」みなさんは聞いたことがあるでしょうか?

犬の皮膚、耳などに元々住んでいます。

普段は仲良く共存しているマラセチアですが時に異常に増殖しかゆみの原因になります。

症状としては脇の下や股の擦れるところ、耳、脚先などで、紅斑、ふけ、痒みなどが見られます。

検査は症状のある部分にテープを貼り付けて顕微鏡で見ます。

そこで問題です。マラセチアは次の写真のどこにいるでしょうか?

202312714946.jpg

正解はこちらです

2023127141011.jpg

 

実は写真に写っているゴマみたいな紫色の粒々は全てマラセチアです。

(よく見ると雪だるまみたいな形をしています)

マラセチアは痒みの原因となり放っておくと皮膚がゴワゴワになってしまいます

異常に増えたニキビダニは内服薬やシャンプーなどの外用剤で減らすことができますが、肌質が油っぽかったり、アトピー性皮膚炎などの基礎疾患がある子では再発を繰り返すことが多いです。

皮膚の問題は目に見えて辛そうなのが分かるのでご家族様も不安になると思います。

「痒そうにしてるかな?よく舐めてるかな?」そんな症状が出てきたら皮膚が悪くなる前に相談してみましょう。

 

 

ワンちゃんの発達ステージを理解しましょう

こんにちは、獣医師の遠藤です。

最近子犬さんをよく見かけるので、今回はワンちゃんの発達ステージについてお話ししたいと思います。

ワンちゃんの発達ステージは大きく6つに分かれます。

それぞれ出生前期、新生子期、移行期、社会化期、若年期、成熟期〜高齢期と呼びます。

どの時期もワンちゃんにとって大事な時期であり、一番長く一緒に過ごすご家族の皆様に十分に理解していただくことで、双方にとって快適で豊かな生活が送れると思います。

・出生前期

文字通り誕生前の時期です。

・新生子期

生後2週間くらいまでの時期です。

体の機能が非常に未熟で、排泄も自分で行えません。

まだ視覚や聴覚は未発達ですが、触覚や体温感覚、味覚、嗅覚はわずかながら備わっており、ちょっとした刺激に反応できます。

こうした時期でも、適度なハンドリングによりその後のストレス抵抗性や情緒的安定性、学習能力などが改善されることが報告されています。

・移行期

生後2週間から3週間までの時期です。

視覚・聴覚が発達してきて、兄弟犬と戯れあったりうなったり尾を振ったりと、社会的行動シグナルも表現し始める時期です。また、排泄も自力で可能となります。

・社会化期

生後3週間から12週間くらいまでの時期を指しますが、犬種や個体差があります。

社会化とは、ワンちゃんが生活していく上で適切な社会性を身につけていくことであり、とても重要な時期です。またこの時期に完全に離乳します(7~10週齢)。

社会化期の初期は、まだ見知らぬ対象や新たな環境に接しても、警戒心より好奇心が上回ります。この時期に多くの動物や人や物、環境に触れ、恐くないことを教えてあげることで、成長してからの恐怖反応を予防することができます(恐怖期という一時的に外部刺激に怖がる時期がこの後2度ほど到来しますが、それはまたの機会に )...。

この期間に経験しなかった事象に今後初めて遭遇すると、子犬のレパートリーにない新奇なものとして警戒や恐怖の対象となります。また、社会化期から次の若年期にかけて、犬同士の遊びは正常な行動発達に重要な役割を持ち、遊びを通して身体能力を磨いたり、犬特有のボディーランゲージや社会的な相互関係のルールを学びます。この時期に他のワンちゃんと触れ合わないと、人とはうまく接することができるけど、変な話、犬とコミュニケーションが取れないワンちゃんになってしまいます。人に例えるならば、狼に育てられた狼少年/狼少女です。

それでは、この時期に多くの動物や人や物、環境に触れることの重要性は理解したが、まだ初年度のワクチンネーションプログラムがなされていないのに他のワンちゃんと触れ合ったり散歩に行っていいのかといった点が疑問としてあがるのではないかと思います。この問題を解決してくれるのが「パピークラス」です。パピークラスとは、子犬の幼稚園であり、同じ状況下の元気な子犬さんたちが集まるので感染症に罹患するリスクも低く、安心して通えます。パピークラスの良い点として、しつけを学べるだけでなく、他の子犬さんやその飼い主さんとも触れ合え、一石二鳥どころか一石何鳥にもなります。是非活用してみてください。

・若年期

離乳から性成熟に到るまでの時期です。

性成熟とは、動物の生殖機能が十分に備わった状態に達することを指し、ワンちゃんでは個体差はあるものの、大体の子が8~12ヶ月齢で性成熟に到ります。

若年期も社会化期同様に、多くの動物や人や物、環境に触れさせてあげることが重要です。この時期に外部刺激の適切な反復がないと、社会化期に社会化した対象に再び恐怖心を抱くようになってしまいます(後戻り現象)。

また、反抗期に突入する時期でもあり、残念な事にこの時期に保健所へ連れて行かれることが多いようです。ご家族の皆様は、犬にも人間同様に反抗期があり、一時的にトレーニングが難しくなる時期があることを理解してあげましょう。

・成熟期〜高齢期

犬が性成熟を迎えてから高齢期そして天国へ旅立つまでの期間です。

事実、歳を重ねれば重ねるほど病気にかかる可能性は人間同様に上昇します。症状が出てからでは手のつけようがなく残念ながら手遅れとなってしまう場合もあります。

早期発見・早期治療を目指し、少なくとも年に1回は健康診断をしましょう。

 

大型犬はご用心<胃拡張捻転症候群>

こんにちは

獣医師の高井です。

暑い日が続いており、大型犬や短頭種のワンちゃんには大変な季節となってきました。

そんなわけで暑さとは関係ありませんが、大型犬の緊急性の高い疾患についてお話したいと思います。

ご存じの方も多いと思いますが、胃拡張捻転症候群という病気です。

胸の深い大型犬に好発しますが、小型犬(特にダックスフンド)もまれに発症します。

何らかの原因(はっきりした原因はよくわかっていない)で胃が拡張してしまい、その結果、捻れてしまいます。

202271715487.jpg

胃拡張捻転症候群の犬の腹部レントゲン写真

ガスで胃がパンパンになっている

 

そのまま放置すると胃が壊死を起こし、ショック状態に陥り、亡くなってしまいます。

症状としては、食後から空吐き(吐こうとしているのに、何も吐かない)、お腹が張っている、ぐったりしているなどが典型的です。

治療は開腹手術による胃の整復が必要になります。適切な治療を行っても死亡率が20〜45%もある怖い病気です。

基本的に様子を見て、自然と治ることはありません。

むしろ悪化する一方ですので、疑わしければ獣医師に相談してください。

 

 

呼吸の話(呼吸の状態を日ごろから観察しましょう)

獣医師の福島です。

夏の季節は大好きです。でもあまりに暑いとやっぱり少しキツイですね。まだ、マスクも付けてますし、マスクをしていることでより呼吸の大切さを実感します。

そこで今回は、ワンちゃん、ネコちゃんの呼吸に注目したいと思います。

呼吸状態の異常としていくつかあげてみると、

●呼吸回数が増える(頻呼吸)

●呼吸が苦しそう(呼吸困難)

●浅くて速い呼吸(パンティング)

●口を開けて呼吸をする(開口呼吸)

などがあります。

特に猫ちゃんの場合、開口呼吸は要注意です(普通はしませんので)。

これらの症状は、

●鼻や気道が狭くなっている・つまっている(鼻炎・異物・できものなど)

●気管支炎・肺炎(感染・アレルギー・誤嚥など)

●慢性気管支拡張症

●肺水腫(心臓病によるものなど)

●胸水(できものなど)

などが考えられます。かなり重症化するものもあります。

暑い時や緊張してる時、痛みがある時も呼吸の異常が見られる事があるので、これらの病気との鑑別が必要です。

また、今の時期、特に気をつけてほしいのが熱中症です。体に熱がこもって体温が上昇し様々な症状を起こします。呼吸状態の異常があり、触ると体が熱く、元気がないなどの症状があるようならすぐに病院に相談してください。

大型犬や短頭種、ちょっと太めの子は日ごろから浅くて速い呼吸(パンティング)をすることがあります。特に具合が悪いわけではありません(生理的)。運動した時や暑い時になりやすいです。日ごろからなっているため、病気としての症状に気付きにくくなってしまうこともありますので注意が必要です。食欲がなかったり吐いてしまったり、他の症状もいっしょに起こるようであれば病院に相談してください。

お家での判断基準として、お家でゆっくりしている時に一分間の呼吸回数(吸って吐いてを一回とする)を数えてみてください。個体差があるので絶対とは言えませんが、40回を超えるときは何かしらの異常があるかもしれません。ワンちゃんや猫ちゃんからのサインを見逃さないよう日ごろからよく呼吸状態の観察をしてみてください。毎日観察することでいつもと違うことに早く気づけるようになると思います。

呼吸は本当に大切です。リラックスしていて良い状態の時にはゆっくりと深い呼吸をするものです。ワンちゃん、猫ちゃんたちの呼吸を観察して、健康管理をしていきましょう。そして、何か気になることやご相談があればご連絡ください。

おまけ:一緒に暮らしているネコたちです。

20227151664.jpeg

いちごの枕でぐっすり

202271516646.jpeg

目があってどっきり

 

下痢・嘔吐について

初めまして。

今年の1月から総合診療科で勤務しております、獣医師の橋本龍之介です。

わんちゃんを飼っていると比較的よく見られる症状と言えば下痢・嘔吐ではないでしょうか?

若い子から、高齢な子まで、幅広い子が下痢・嘔吐に悩まされることがあると思います。

当院においても、来院される症例の中で1~2を争うほどの件数が下痢・嘔吐を主訴として来院されます。

そこで今回は、一般的な治療を行っても改善が認められず、長期的に下痢・嘔吐に悩まされている子たちについて、どのように考え、どのような検査をし、どのような治療が必要になってくるかを簡単ではありますが、説明させていただければと思います。

 

わんちゃんに慢性的に消化器症状を引き起こす原因不明の慢性胃腸炎は、慢性腸症と呼ばれます。

慢性腸症は

食事を変えることによって症状がよくなる場合。

抗生剤を飲むことで、症状が良くなる場合。

ステロイドなどの免疫抑制剤を飲むことで症状が良くなる場合。

残念ながら治療に反応しない場合。

の4つに分けることができます。上から順に当てはまる可能性が高く、一般的な治療に反応しないような子はわずかしかいないと言われています。

 

そこで、まず一般的な下痢止めや吐き気止めで症状が良くならず、便検査や超音波検査などで異常が見られない場合は、食事を消化器用の療法食に変えてみることをお勧めしています。

療法食に変更し、2週間程度経過しても改善しない場合は、抗生剤の内服を開始します。

それでも改善しない場合は、内視鏡検査をお勧めしています。

内視鏡検査では、胃腸の粘膜の観察と同時に、組織を一部取って病理検査を実施することで、がんが隠れていないかどうかなどを調べることが出来ます。

麻酔をかける必要がある検査ですが、免疫抑制剤が必要なタイプの腸炎は、ステロイドや免疫抑制剤を長期的に内服する必要がありますので、本当にステロイドが必要なのか、そのほか一般的な検査ではわからないような疾患が隠されていないかどうかをチェックすることは重要だと思われます。

そのため内視鏡検査を行い、その結果を元に治療を開始していく形となります。

202261285444.jpeg

この写真は慢性腸炎と診断された子の内視鏡画像です。

腸の壁がボコボコとしており、所々出血しているのが分かります。

よく見られる下痢・嘔吐ですが、いつもの治療で良くならない。

なぜか下痢や嘔吐が続くようなことがあれば診察にいらしていただければと思います。

症状が長引く場合は不安が募るばかりだと思います。

そのような飼い主様に寄り添い誠心誠意、診察・治療していきたいと思っています。

 

 

犬のニキビダニ症について

こんにちは。獣医師の藤森です。

今回は犬のニキビダニ症についてお話しします。

ニキビダニみなさんは聞いたことがあるでしょうか?

人では顔ダニと呼ばれたりしていて多くの生き物の体表に住んでいます。

普段は仲良く共存しているニキビダニですが、時に異常に増殖し、脱毛や皮膚炎の原因になります。

症状としては顔、足先などで脱毛、フケ、色素沈着などが見られます。

検査は症状のある部分の毛を少し抜いて顕微鏡で見ます。

そこで問題です。ニキビダニは次の写真のどこにいるでしょうか?

 

2022321113738.jpg

正解はこちらです

2022321113821.jpg

はっきり見えるものだけでもこんなにたくさんのニキビダニがいます。

異常に増えたニキビダニは普段使用しているフィラリア予防薬で減らすことができますが、予防薬の種類によってはニキビダニを十分駆虫できないこともあるので注意が必要です。ただの脱毛、皮膚炎にとどまらず2次的な感染がひどい場合は元気がなくなり、食欲不振になることもあるので小さなニキビダニたちですが侮ってはいけません。

ニキビダニは免疫力が低下している子で起こりやすいので、1歳未満の子犬や基礎疾患を持っている子は気をつけましょう。

 

高血圧について

こんにちは。獣医師の島岡です。

今年は、新年早々からここ入間市でも初雪が降りました。 寒い日々が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか?

今回は、高血圧に関するお話です。 日本では高血圧患者が多く、平成30年に厚生労働省が実施した「国民健康・栄養調査報告」では、 40~70歳の高血圧有病率【140/90 mmHg (最高血圧/最低血圧)以上または降圧薬服用中】は、男 性で63.2%、女性では41.5%、75歳以上では男性、女性はほぼ同じで約78%と報告されています。

血圧が高めの人は、寒さを感じたり冷たい水にさわったりした時などは、血圧がさらに高くなり、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす恐れがあります。寒い屋外に出たとき、暖かい部屋からト イレや脱衣場など寒い場所へ移動したとき、熱いお風呂に入ったとき、夜間トイレに起きたとき や早朝に起きたときなどは特にご注意ください。

高血圧はわんちゃん、ねこちゃんにとっても要注意です。

高血圧には本態性高血圧と二次性高血圧があります。日本人の大部分の高血圧は、血圧上昇の原 因となるような病気がない本態性高血圧であり、食塩の過剰摂取、肥満、飲酒、運動不足、スト レスや遺伝的体質などが組み合わさって起こると考えられています。

一方、わんちゃん、ねこちゃんの場合は、基礎疾患(おおもとの病気)があって高血圧を起こす 二次性高血圧が一般的です。

わんちゃんでは副腎皮質機能亢進症や腎疾患、ねこちゃんでは甲状腺 機能亢進症や腎疾患が原因となっていることが多いです。

高血圧を放置しておくと、眼・中枢神 経・腎臓・心臓などに組織障害が起こり、下記のような徴候が現れることがあります。

眼:失明、出血、網膜剥離、緑内障、二次性角膜潰瘍

中枢神経:脳血管障害、発作、失神

腎臓:多飲多尿、腎臓機能障害の増悪

心臓:左室肥大、心雑音

わんちゃん、ねこちゃんの血圧の正常値は最高血圧が100~150 mmHg、最低血圧が60~100 mmHg です【ただし、わんちゃんの血圧には犬種差があり特にハウンド種(グレイハウンド、ディ アハウンドなど)は雑種犬に比べて10~20 mmHg は高いと言われています。一方、ねこちゃんで は猫種の影響は観察されていません。】。

副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能亢進症、慢性腎臓病などの疾患は高齢の動物に多いですが、潜 在性であることもあります。そのため、血圧測定によって基礎疾患の発見、治療につながる可能 性があります。

当院では、動物の足や尾などに血圧測定用のバンド(カフ)を巻いて、安静にしている状態で5 回以上血圧を測定して平均値を出します。

これを機に、血圧測定にご興味を抱かれた方がいらっしゃいましたら、ご遠慮なく当院スタッフ へお尋ねください。               

202211414428.jpeg

 ● 院内猫の”ししゃも”です。

輸血前のクロスマッチ試験

こんにちは。獣医師の渡邊です。

座古先生に引き続き、血液に関するお話です。

後半は輸血を行う前のクロスマッチ試験に関するお話をします。

前半では、犬にはDEA1.1という血液の型があり、これが(+)と(−)に分類されることをお話ししました。

では、輸血が必要なわんちゃんがいる時に、血液型が合えば、すぐに輸血が可能になるのか。

実は、血液型以外にも交差適合試験(クロスマッチ試験)というものが必要になります。

さて、この話をするには、DEAに関してお話ししなければなりません。

赤血球の表面には、自身が赤血球であることを証明するマーカー(抗原)が複数あります。

そのうち、最も強い抗原抗体反応を起こすものがDEA1.1であり、まずはこれを調べて大まかな分類を行います(血液型分類)。

しかし、いくら抗原抗体反応が比較的弱いとはいえ、他のマーカー(DEA3、DEA4...)は区別しなくても良いのでしょうか?

輸血をするということは、ドナー(血液をくれる子)の血液をレシピエント(血液をもらう子)に入れること、つまり臓器移植と同じです。少し慎重になって考えてみる必要があります。

ここで、交差適合試験(クロスマッチ試験)の登場です。

簡単にいえば、ドナーとレシピエントの血液を混ぜ合わせ、拒絶反応が起きないかを確認しています。

最も重要なのは、レシピエントの免疫が、ドナーの血液を攻撃しないか、ということです。

せっかく入れた血液が、免疫により攻撃され、体内で分解されていくことは、レシピエントの体に負担がかかり、さらに体調を悪化させてしまいます。

つまり、これら2つの検査(血液型の合致、クロスマッチ試験)が問題なければ、そこで初めて輸血が可能となるのです。

これらが合わない場合、輸血を実施することはできません。

そのため、1頭のレシピエントに対して、ドナーの候補が複数必要になります。

当院では大きな手術や血液の病気を抱えている子も多く、輸血が必要になることが多いです。

供血犬としてすでにご登録いただいている子も複数いますが、それでも血液が不足しているのが現状です。

1人でも多くの命を救うために、献血にご協力いただける方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡・ご相談いただければと思います。

 

血液型について

こんにちは、獣医師の座古です。

今回は血液について前半後半に分かれてお話ししたいと思います。

前半は血液型についてです。

犬には13種類以上、猫には3種類の血液型があります。

今回は犬について詳しくお話しします。

人はABO式で4種類(A、B、O、A B)ありますが、犬はDEA式という分類になり、全部で8種類のDEA(犬赤血球抗原)があります。それぞれが+(抗原を持っている)なのか−(抗原を持っていない)なのかの組み合わせで血液型が決まります。

犬の血液型は非常に複雑なのです。

DEA1.1という型の血液型測定は、院内で測定可能です。

早速血液型を調べてみましょう。

zako1

このようなキットを使って検査します。

希釈液と血液を混ぜ合わせることで、5分くらいで結果がわかります

zako2

このわんちゃんは血液が粒々(凝集)しているので、DEA1.1(+)と分かります。

サラサラ(凝集していない)しているとDEA1.1(−)です。

血液型は輸血をする際に非常に大切な検査項目となります。

ちなみに猫はA、B、ABの3種類になります。

院内猫のししゃもはA型

zako3

うずらはB型です。

zako4

当院では、輸血を必要とする子、ドナーとなってくれるわんちゃん、ねこちゃんには、まず一般の血液検査と血液型の検査を実施しています。

一つでも多くの命を救うために、もし献血にご協力いただける方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡・ご相談頂ければと思います。

後半は輸血をする際の適合試験(クロスマッチ)についてお話しします。

お楽しみに!

 

ペットの急変に備えてお家でしておくべきこと

こんにちは、獣医師の中嶋です。

今日はペットが急変してしまい、普段受診したことのない病院を受診しなければいけなくなったときのためにお家でできる準備についてお話しようと思います。

病気やケガは時間を選びません。

夜間に急に具合が悪くなったり、かかりつけの病院の休診日に具合が悪くなってしまうこともあります。

そういう時に備えて今からお話しする4点はお家で準備しておくとよいでしょう。

①過去の病気をまとめておきましょう

過去に治療した病気の診断名、時期と期間は獣医師に伝えられるようにしましょう。

病気の中には繰り返し起きるものや数年かけて具合が悪くなる病気もあります。

今回の症状とは関係ないと自己判断せず、獣医師に伝えるようにしましょう。

 

②治療中の病気をまとめておきましょう

現在治療中の病気がある場合は急変と関係している場合が十分に考えられます。

診断名をしっかりと把握しておきましょう。

 

③検査データはまとめておきましょう

病院で貰った検査結果データはまとめて保管するようにしましょう。

緊急受診する際はそれらのデータも持っていくようにしましょう。

血液検査を評価する際には、その時点での数値はもちろん大切ですが、過去のデータとの変化も重要な情報となります。

 

④服用しているお薬・投与したお薬の名前を知っておきましょう

「下痢止め」や「痛み止め」、「抗生剤」といった情報だけでは、実際に何の薬剤を投与したのかわかりません。

薬の中には同時に使用すると副作用が出てしまうケースや薬の効果を減退させてしまうケースがあります。

可能であれば、治療してもらった先生に、使用した薬の名前を教えてもらいましょう。

また、内服薬を処方された場合には、実際にお薬を持参して頂くと、何のお薬かわかるかもしれません。

 

 

ストレスで膀胱炎!(猫の特発性膀胱炎について)

獣医師の福島です。

猫ちゃんを診察していて多い病気の一つに膀胱炎があります。

膀胱炎とは、膀胱が何らかの原因で炎症を起こして排尿の時に痛みがおこる病気です。

原因となるものはいろいろあります。

①結石

②細菌

③特発性

④その他(できものなど)

膀胱炎になると排尿の時に痛みを感じ、トイレで苦しそうにしている姿を目撃します。

 

【主な症状】

トイレに入ったり出たりを頻回に繰り返す

少量のオシッコを何度もする(頻尿)

血の混じったオシッコをする(血尿)

排尿時に痛みがあり鳴く

排尿姿勢はとっているが尿が出ていない

 

動物病院では尿検査や画像検査などを行って原因を特定し治療します。

結石やできものなどは検査をすれば原因がはっきりします。

しかし、炎症が起きているにもかかわらず具体的な原因がはっきりしないものについては特発性膀胱炎と呼ばれ、現在、猫の膀胱炎の半数以上が特発性と考えられています。

原因はまだわかっていませんがストレスが関連していると言われています。

 

【猫がストレスを感じる原因】

環境の変化(引越し、家族構成の変化など)

工事などの大きな音が聞こえる

同居猫との関係(新しい猫を飼い始めた、仲が悪いなど)

長時間の留守番

トイレの問題(トイレが気に入らない、汚れているなど)

そのほか猫ちゃんによってさまざまです。

また猫ちゃんの性格によっては、少しのことでもストレスに感じてしまうことがあるので注意が必要です。

治療は、症状に合わせてお薬を飲んだり、ストレスを軽減する成分が入った食事、サプリメントなどを併用していきます。

一番はストレスになっているものを取り除いてあげることですが取り除くのが難しかったり、何がストレスになっているのかわからなかったり、性格的にストレスを受けやすい場合は、症状が治っても繰り返す可能性があります。

食事療法を続けたりサプリメントを試したり、リラックスできる環境を整えて暮らしやすく工夫してあげましょう。

ストレスをとるというのはなかなか大変な作業です。

私たちも知らない間にストレスを受けています。私たちも猫ちゃんも一緒です。

ストレスを軽くして少しでも快適に楽しく暮らせるよう一緒に考えていきましょう。

2021731141926.JPG

快適にゃ

202173114204.JPG

満足にゃ