2025年6月
白内障について
こんにちは看護師の吉冨です。
梅雨前線が近づいてきたようですが、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。
今回は、白内障についてお話ししたいと思います。
白内障は、目の中でレンズの役割を果たしている水晶体が、何らかの原因で濁ってしまう病気です。
水晶体の濁りは、タンパク質の変性によるものであるため、一度濁ると元には戻りません。
そのまま放置してしまうと視力が低下し、視野が小さくなり、やがて見えなくなります。
また視力が低下するだけでなく、水晶体のタンパク質が目の中に漏れ出て炎症を起こし、ぶどう膜炎や虹彩癒着、緑内障、硝子体変性、網膜剥離などを引き起こす恐れがあります。
白内障は、「遺伝性」「老齢性」「放射線性」「炎症性」「外傷性」「糖尿病性」など、原因は多岐に渡ります。
ヒトでは白内障は老齢性の疾患であることが多いですが、犬の場合は若齢時より発症するケースも決して少なくありません。
ある報告では、手術が必要となった症例は実は若齢時より発生していることが多いとも言われています。
特に若齢発症や糖尿病性のものは進行が早く、数週間から数ヶ月で視力障害が出てしまう事もあります。
白内障の進行度は、水晶体の濁り具合によって初発期から過熟期の4つのステージに分類されています。
① 初発期
水晶体の白濁が全体の15%未満で視覚障害がほとんどなく、飼い主様がみてもわかりにくいです。
② 未熟期
白濁が全体の15%以上〜100%未満になり視覚障害が現れはじめます。 未熟期以降ではぶどう膜炎を惹起する可能性があり、放置すると網膜剥離や緑内障を合併してしまうことがあります。
③ 成熟期
白濁が水晶体全体に及びます。光に対しての反応はありますが、視力はほぼ消失しています。
④ 過熟期
水晶体のたんぱく質が液化し、融解します。
①初発期、②未熟期の初期は気づきにくいですが、普段から定期的に健康診断をしていれば早期に発見することができます。
残念ながら白内障は点眼薬による内科治療では治癒しませんが、進行を遅らせたり、合併症予防・治療をすることは可能です。
②未熟期の後期以降では外科手術が適応になります。
手術では変性してしまった水晶体のたんぱく質を除去し、人工レンズをいれます。
術後は頻回の点眼治療が必要になります。
日頃から定期的に健康診断をし、白内障に備えておきましょう。
ご家族のワンちゃんやネコちゃんの目の異変に気づきましたら、当院のスタッフまでご相談ください。