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画像診断科

画像診断医というお仕事について

こんにちは。画像診断科の杉野です。

当院でレントゲンやエコー、CTといった画像検査を受けたあと、
「この画像、誰がどのように見て判断しているんだろう?」
そんな疑問を持ったことはありませんか?

今回は、画像診断医というお仕事についてご紹介します。

画像診断医は、レントゲン(X線)・超音波(エコー)・CT・MRIなどの画像から、病気の有無や広がり、重症度などを読み解き、病気の場所や種類、診断の確からしさを評価します。

動物医療の中でも専門的で、あまり表に出ることのない分野ですが、検査画像をもとに診断の手がかりを探る、医療の一端を支える役割を担っています。

 

主な業務内容

画像診断医の業務は多岐にわたりますが、代表的なものは以下の通りです。

1. 撮影計画の立案と画像の撮影

疑われる疾患や病変部位に応じて、最適な撮影方法や検査項目を選択・調整する役割を担っています。たとえば腫瘍が疑われる場合には、造影剤の投与タイミングや撮影条件を症例に応じて工夫することで、病変の描出性を高めます。また呼吸器疾患が疑われる場合には、吸気時・呼気時の画像を撮り分けたり、必要に応じて体位を調整することで、病変の見落としを防ぎ、より正確な評価が可能となります。
このように、疑われる疾患に応じて撮影を工夫することで、診断に必要な情報を効率的かつ的確に取得することができます。

2. 画像の読影

撮影された画像を詳細に観察し、異常の有無・分布・進行度などを評価します。

例:

  • 「この肝臓の腫瘤は悪性の可能性が高い」
  • 「この肺の影は肺炎か、腫瘍か、あるいは全く別のものか」
  • 「CTで見えるこの病変は手術で取り除けそうか」など

3. 画像診断報告書の作成

得られた情報をもとに、主治医へ向けた画像診断報告書を作成します。
報告書には、単に「異常あり」と記すのではなく、考えられる疾患のリストや、必要に応じて追加検査の提案なども記載しています。

4. 他の獣医師との連携

画像だけでは判断がつかない場合もあるため、主治医とのディスカッションを行い、症例に応じた最適な診断・治療へとつなげていきます。

なぜ画像診断医が必要なの?

画像検査を行う上で、単に撮影するだけでは見えてこない情報も多くあります。画像を正確に読み取るためには、動物の解剖学的知識、疾患のパターン認識、臨床との結びつきが不可欠です。画像診断医はこうした知識と経験を駆使して、より正確で再現性のある診断を行います。これにより、治療方針を誤らずに早期に決定できるため、動物たちにとってもより安心・安全な医療が提供できるのです。

当院では、画像診断専門の獣医師が複数名在籍し、日々さまざまな症例の画像検査を行っています。画像を撮るだけではなく、「診て、考えて、伝える」までが私たちの仕事です。そして、診断精度を高めることで、一歩でも早い治療と安心につなげることが私たち画像診断医の使命です。

私たちは診察室には登場しないことが多いですが、正確な診断を支える大切な存在として、医療チームの一員として活動しています。検査結果に関して気になることやご質問があれば、どうぞ遠慮なくお尋ねください。